私たち政略結婚しました!~クールな社長と甘い生活~
彼は、何も言わずに私がサインするのを見守っていた。

「指輪は、このまま君が持って帰ってくれないか?」

私は、顔をあげた。

「私が持って帰るの?」

「俺が持って帰っても、処分できないと思うから」

「そうですか……」私だって、タンスの奥に置いたままになるだろうけど。

「手元に置いておくと、
楽しかったことばかり思い出して、
どうしても辛くなるから」
 
「辛くなる?」

「君は平気なのか?」

「平気じゃないですよ」

「離婚するのは、辛いのか?」

「当たり前でしょう?
あなたは、私を何だと思ってるの?」


「君は、俺の妻だよ。
こんな書類にサインしたって、
それは変わらない」

「それなら、どうして……」

寂しいって言ってくれないの?

そうしたら、何でも許してしまえるのに。

たとえ、あなたに別の人がいても、まったく違う人生を歩くよりいいと思える。

高陽さんのもとを離れるなら、どんなことでも受け入れる。

寂しい。

そう思ってるなら、どうして言ってくれないの?



私が高陽さんに詰め寄った時だった。

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