私たち政略結婚しました!~クールな社長と甘い生活~
「高陽、あんな女にずっと部屋貸すつもり?」
高陽さんは、答えない。でも、それで黙ってる母ではない。
「へえええ。
大事な義理の母は、追い出しておいて、大事に愛人なんて住まわせてないで、さっさと追い出しなさいよ」
「愛人って……
お母さんも知ってたの?」
そんな。まさか。
知らないのは、私だけだったの?
頭を殴られたみたいに衝撃を受けた。
周りはみんな知っていて、私に結婚しろと言ったのだろうか?
「塔子叔母、もう止めてください!」慌てて、高陽さんが止めに入った。
高陽さんが、「大丈夫か」と顔をのぞき込んで来た。
私は、「止めて」と言って、彼の胸を手で押し返した。
「私だけ、仲間外れにしようっていうの?どういうこと?お母さん」
聞きたくないけど。もうこうなったら、何があったのか、全部聞き出してやろう。
母は、待ってましたとばかりにこっちを向くと、高陽さんが止めるのも聞かずに話し出した。
「だって、井口真木子は、親父さんの愛人だもの」
「へっ?」
私は、気の抜けたような声を出してしまった。
母がこっちを見て言う。
「親父さんが、なくなってからあの女、妊娠したって騒ぎだしたのよ。
でもね、それは嘘だね。親父さんは前立腺がんを患って、子供なんかできない体だったの。
それなのに、葬儀の日に遺産相続に、いちゃもんつけて来たんでしょう?」
「ど、どういうこと?」
びっくりして、開いた口がふさがらない。
母が続ける。
「井口真木子はね、もともと親父の会社の秘書だったの。
それが、急に親父さんの世話をするって言いだしたのよ。
そうしてまんまと、家に入り込んで。あの女、親父さんが亡くなっても、
そのまま家に居ついてたの」
「高陽さん、それじゃあ」
「だからあの人は、俺の愛人じゃない」
「ふーん。なんだ。
そんなことで揉めてたの?あんた達」
母が詰まらなさそうに言う。
高陽さんが、重い口を開いた。
「彼女には、祖父の家から出て行くように伝えたけど。
これから、生まれてくる子供と二人で路頭に迷うから、出ていけないって言われて。
仕方なく俺の住んでたマンションに居てももいいと言ったんだ」
高陽さんが付け加えた。