私たち政略結婚しました!~クールな社長と甘い生活~
社長室から、母を追い出してから、私は、高陽さんと向き合った。もう少し、ここで二人でいようかと彼が言ってくれたのだ。
空はだいぶ暗くなり、新宿の街もきらめくばかりの夜景となった。
高陽さんは、カクテルとおつまみをビル内のバーから頼んでくれた。
部屋の照明を少し落とし、ゆったりとソファに並んで座って、二人で乾杯した。
「さっき、ここに入って来た時、あなたの顔を見て、私たち、もうダメじゃないかなって思ったの」
「俺も、覚悟を決めてた。君が家を出て行ったときに」声が震えている。
「離婚するつもりだったのね?じゃあ、今でも覚悟はできてるの?」
彼は、ぶるっと頭を振った。
「ダメだよ。全然出来てない。
離婚を用意して、理解のある夫の役をしようと思ったけど。無理だったよ」
「そんなふうには見えなかったわ」
「感情を隠すのは得意だからね。
でも、指輪を返されると分かったら、動揺した。胸が苦しくなって。これからもあの家で一人だと思うと……
離婚が、急に現実になった気がして、目の前が真っ暗になった。
気が動転して、それを見破られたくなくて。
本当は、顔をあげるのもきつかった。
すぐに君を抱きしめてしまいそうで」
「それなら、本当のこと教えてくれなかったの?」