私たち政略結婚しました！～クールな社長と甘い生活～
祖父は、私にこの家を残した……

祖父と言い争って、母が祖父を拒絶しなかったら。

私たち家族も、この家で祖父母との時間を過ごしていた。


弟の智也と、この家で祖父母と一緒に遊んでいたかもしれない。

会いたいときに、ここで会うことが出来たのだ。

そう思うと胸が熱くなる。


二人とも亡くなってしまって、それはもう、かなわないけれど。

家の中を見渡しながら、写真でしか見たことのない祖父が歩くさまを想像してみる。


「どんなおじい様だったの？」

ＩＷＡＴＵＫＩグループを大きく育て上げ、国際的な強大な組織に作り上げた祖父を、この目で直接見たかった。

見るだけじゃなくて、会いたかったなあ。

この家を、私に残してくれようとしてたなんて聞くと、そんなふうにできなかったことが残念に思えてくる。

「寡黙で、気難しいって言われた人だったけど、孫にとっては優しいおじいちゃんだったよ。
いくつも一緒に写った写真があるんだ。今度、アルバムを持ってこよう」

「是非見たいわ。おじい様だけじゃなくて、おばあ様も。そしてあなたの小さい時の写真も」

子供の頃の写真を見たいと言われて、彼は表情を和らげて小さく笑った。

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