私たち政略結婚しました!~クールな社長と甘い生活~
「結婚だぞ、一生のことだろう?」珍しく心配してそうな事を言う。
「うん」分かってるつもりだ。
「なんで、そんなに簡単に決めたん?」
智也は、時々納得いかないっていう顔でこっちを見てる。
なんで相談しなかったんだって思てるんだ。
「メールは一応送ったよ」
結果だけ伝えたんじゃ、どうがんばっても、納得はしてもらえないだろうけど。
納得してもらわない方がいい時もある。
この男は、弟ながら頭がよくて細かい。
一度疑われたら、私には、智也を誤魔化す能力はない。
あんたに相談なんかしたら、条件を全部聞き出してメリットデメリットを全てリストにしろって言うにきまってるし。
だから、絶対に嫌だ。
智也に相談したら、余計にややこしい事になる。
彼は、私の頭の中をのぞいたみたいに言う。
「ブーツ一つ買うのに、街中の靴屋を駆けずり回って決めるやつが。
結婚相手をものの数時間で決めたとは、とても思えないけど」
確かに、私はブーツ一つ選ぶのに東京中を駆け回る女だ。
結婚するなんて、ブーツを決めるどころの比じゃないに決まってる。
智也が私の顔をじっと見つめて、私の本来の性格を思い出させようとしてる。
「それって、認めてくれるの、くれないの?どっち?」
智也に反対されたところで、私は気にしない。
「相手によるんじゃないか?それに、結婚しちゃったもんはどうしようもない」
我が弟は、腕組みして答えた。
週末の休みの日、私は智也に引っ越しの荷物を運んでもらうように頼んだ。
身の回りに必要なものを段ボールに詰めて、智也が友達から借りて来てくれた車に、積み込む。
乗り込もうとしたとたんに、智也が待ったをかける。