私たち政略結婚しました!~クールな社長と甘い生活~
「仕方ないなあ」
携帯の画面を検索して、高陽さんの写真付きの記事を智也にいくつか見せた。
智也も、岩槻家と付き合いはない。
だから高陽さんの顔を覚えていなかった。
智也は、間違いなくこの人なのかと聞き返してきた。
「でしょう?稀にみるいい男よねえ」
写真向けに真面目な顔してるんじゃなくて、高陽さんは、いつもこんな感じだけど。
智也が私の携帯をひったくって持っていく。
「何これ。大丈夫なの?まともな男じゃん。ねずみ男みたいんじゃなくて。
あのさあ、やばいんじゃ二の?
デパートの経営が傾いて、じいさんの遺産が欲しさに、奈央と結婚するとか。
そうじゃないのか?」
「あのねえ、もっと別の言い方できないの?
でも、ほら、どの記事もビジネスの記事とは思えないほど、高陽さんの顔が大きく出てる」
経済誌の表紙を飾ったこともある。表紙のおかげで、売り上げがぐんと伸びるそうだ。
真面目な経済誌が、高陽さんの表紙のおかげで、売り上げが伸びるなんて面白い。
智也は、いくつかの記事を読み終えると、私の顔をじっと見た。
「お前、本当に何も考えてないだろう?」
「そんなことないよ。私だって悩んだもの」
「誰にも相談する余裕もなかったのにか?」
「相談しようとは思ったのよ。でも、どう説明したらいいのか分からなくて」
気が付いたら結婚してました。