私たち政略結婚しました!~クールな社長と甘い生活~
私、なぜ呼び出されたのでしょうか?
目の前のプリンスさんにそのことを聞きたいけど、聞けない。
プリンスさんも笑ってるんだし。
用件は、なんでしたっけ?って遠慮なく聞けばいいんだけど。
そのまえに、自分に心当たりがないだろうかと考えてみる。
彼の気に障るようなことをして呼び出されたのだろうか?
気に障るようなことってなに?
高陽さん何を気にするの?
わからない。まるで身に覚えがないもの。
一つ言えるのは、岩槻高陽は、こうして私とお茶を飲むほど暇じゃないはず。
それに、どう考えても変じゃない?
祖母が亡くなった時も、祖父が亡くなった時も岩槻の本家人間は、私たち家族に知らん顔だった。
どうして今頃、呼び出したりしたの?
こっちの事情も察してくれないかなあ。
なんて彼のこと見てたら、目がばっちりあった。
うわっ。すごい迫力。
なんて深い目してるんだろう。
私のような凡人には、思いもよらない事考えてんだろうなっていうのは、私にも分かる。
吸い込まれてしまいそう。
黙って座っていれば、ほんの数分で用事は終わる。
だから、落ち着いて。
恐くない、恐くない。