私たち政略結婚しました!~クールな社長と甘い生活~
『なんなら、試してみるか?』
うわーっ。
生々しい声に思わず耳をふさぐ。
からかわれてるだけ。
せまられたって思うから、意識するのよ。落ち着いて。
冗談だって。
彼の声を聞くと冗談なんかじゃなくて、本気だったらいいのにって思ってしまう。
なに、想像してるのよ。こら。
高陽さんのセリフが……
彼の声が、何度も反芻されて、頭の中をめぐっている。
試す……
試すって、何でしょう。
何を試すのでしょうか?
お願い!ハッキリして。
いったい、どうやってですか?
逆の場合もあるんじゃない?
逆の場合って?もし、相手にされなかったら……
まさかの放置プレイ。
高陽さん、あれで全然平気なのかも。70のお爺さんのように。
それもきついわー。
妻として他の男性と付き合うことを禁じられたうえに、夫からも無視されたら?
都合の悪いことは、考えてこなかった。
そんなこと考えて。
もし、そういう事態になったら、いったいどうやって対処すればいいのよ……
これまでの人生で、あんなイケメンに責められたことないぞ。
まず、高陽さんを拒否できるのか、私は。
だいたい、跪かれただけでプロポーズ受けちゃったじゃないの。
はああ……
今度も、彼に跪かれたら……
バカだ。私。バカ過ぎで泣ける。