私たち政略結婚しました!~クールな社長と甘い生活~
「奈央……これは、ずっと前に取材を申し込まれた企画だったんだ。
急に結婚したってこと、雑誌社に伝わってなくて。っていうか、そんな見出しになるなんて思ってなかったから」
それは、嘘でしょう?
それなら、誤解を避けるために説明してくれてもいいよね?
「そうなんだ。それなら、これからどうするつもり?この先に取材を受けても、どこかに私を隠しておくつもり?」
独身と書かれたことに対してイライラが募った。
「隠すつもりなんてない。君のことは秘密でも何でもないんだ」
「じゃあ、どうして間違ってるって訂正しないの?
自分には妻がいるって出版社の人に言わないの?」
彼は、謝るつもりはなく、開き直ったみたいに威圧的に迫って来た。
彼の顔が目の前に来る。
「言ってもいいのか?
財界中で噂されてる御曹司が、妻をもらいましたって、公にしていいのか?」
「なによ。そんなに凄まなくても」
「公表していいなら、すぐにでもするよ。
そうなると君は、自由じゃなくなるかもしれないんだが、それでもいいのか?
知らないうちに詮索されて、あらぬ噂を立てられる。
結婚相手がどういう女性か根掘り葉掘り調べられるんだぞ」
「いいのかって言われても……ムカつく」
私は、彼が下に敷いている枕をつかんで引っこ抜いた。
高陽さんは、何事だと思ってぎょっとしている。
私は、枕を思いっきり振り上げて、彼の頭に振り下ろした。