「Love logic」だから僕は、誰も好きにはならない。

「愛されたことなんか……」

「……愛してたわよ。私なりに。……それに、あなたのお父さんだって……」

「……父?」

と、聞き返す。

「……父親が誰だか、わかってたのか…」

「…ああ、お父さんの話なんて、そう言えばしたことなかったかしらね」

「……聞いたこともない。だから、僕は父は誰だかわからないものだと……」

「そんな風に思ってたの? 嫌ね…わかってるわよ、父親くらい」

と、母が笑うのに、

「……だったら、どうして一度も話さなかったんだ…」

と、上目に見る。

「だって、お父さんの話どころか、あなたと長話しをしたことも、全然なかったじゃない」

グラスに口を付けながら、

「だから、あなたは私とは話をしたくないんだろうなと思ってて。それだから、今日こうして来てくれて、すごく嬉しいとも思ってるのよ」

言うのに、再び赤面しそうにもなって、顔をうつむけた……。



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