「Love logic」だから僕は、誰も好きにはならない。

「……唇、大丈夫? 切れて、痛そう…」

彼女がハンカチを濡らして、切れた口の端にあてる。

わずかにしみて、「…っつう…」声を上げると、

「……急に殴るなんて、本当に酷いよね……」

と、彼女の方が辛そうな顔で、唇を噛んだ。

「……大丈夫だ。君が、そんなに気にしなくてもいい」

言うと、

「気にするに決まってるでしょ? 私のせいで殴られたのに。こんな時にまで、感情を押し殺さないでよ……」

泣きそうな顔にもなった。

「なぜ、君の方が泣くんだ…」

彼女は答えずに、腰に腕をまわして、抱きついてきた。

「なぜ……」

シャツ越しに彼女の涙を感じながら、棒立ちで呟く。

「……なぜじゃない。決まってるじゃない……好きだからよ」

「……好き?」唖然として聞き返す。

「……あなたが、自分の気持ちがわからないのなら、それでもいい。だけど、私の気持ちくらいわかっていて……」

腰にまわした手に、彼女が力を込める。



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