【短】あなたの鍵が見つからなくて

　なにか勘違いしているらしい瑠佳さんが話し始めた。




「ルームシェア、初めてじゃない」


「前に、誰かいたの？」


「……いた。１ヶ月だけ」


「１ヶ月！？」




　あまりにも短い期間。何かあっただろうことはわかる。



　きっと、こんなふうにあたしを避ける理由。
　本当は優しいはずの瑠佳さんが、人を避けている理由。




「話してくれるの？」


「聞いて欲しい」




　きっと今、瑠佳さんの気持ちがいっぱいになって溢れているんだ。
　ずっと人を避けて、１人でいたから。きっと、心が悲鳴をあげている。



　そこに、あたしが来ちゃったのかな。
　大丈夫かな。
　あたし、受け止められるかな。