【短】あなたの鍵が見つからなくて
「同じ大学通ってる奴とルームシェアしたんだ。仲良くやってたんだ。でも、俺が傷つけたから出て行った」
「傷つけた? 瑠佳さんが?」
頷いたようで、肩にある髪が揺れた。
「アイツにはマナっていう好きな女がいて、俺はそれを応援するって言っていた。でもマナは俺に告白したんだ。ここで」
なんとなくわかってきた。
マナさんが告白した時、多分瑠佳さんだけではなくてルームメイトの彼もいた。
好きな人が、目の前で告白している。それも応援すると宣言してくれた友達にだ。
「でも、瑠佳さんは悪くないよ」
「傷つけたことに変わりはない」
「告白、断ったんでしょ?」
「……断った」
「だったら!」
「……俺の存在は人を傷つける」