うちの執事は魔王さま
徐々に近づいてくる人体模型の足音。




プラスチック製の足と廊下のタイルが弾きあい、高い音が誰もいない廊下に響く。



すぐ目の前に来た時、峰岸は脚を出した。


しかし、人体模型はそれを避けた。


いや、ジャンプして跨いで行った。



しかし、こちらに気付かれてしまった。



「おや、知能がお有りのようですね」



「冷静に分析してる場合か!!逃げて!」



「全く、うるさいガキですね。このまま人体模型になればいいのに」




「心の声がダダ漏れですけれど峰岸さぁん?」
「これはこれは失礼致しました。以後は面等向かって言いますね」



にっこりと厭な笑みを向けて駆け出す。



いや、既に面等向かって言われてるんですが…!?



これ以上言われるんですか、私は!!?


「ねぇ、ちょっと!!あいつどうにかしてよ、みね」


「姫が私などにそんなことをおっしゃるなんて珍しい」



驚く動作一つもなく言葉を紡いだ峰岸。


ルナは言う。


「いいから!物事には理由がある!だから、あいつにも何か理由(わけ)があるんじゃないかなって思うんだ」


それを聞いて峰岸の様子がほんの少しだけ変わった気がした。



< 24 / 76 >

この作品をシェア

pagetop