うちの執事は魔王さま
「何、騒いでるんですか。煩いですよ。それに2回ずつ同じ意味を言ってしまっては、それこそ真のバカでしょう。因みに私は普通のチョコ派です。ホワイトチョコなんて甘ったるすぎますからね。ビターチョコが1番です。さあ着きましたよ。七不思議その2音楽室の幽霊、でしたっけ。さっさっと魔界に帰してきなさい」
「なんで人の心の中見えてんの!?なんでちょっとお母さん口調なの!?」
そう言えば片足で先に中に押し込められてしまう。
鬼!鬼畜!
「そんなことより、霊がいませんね」
峰岸が部屋に入りながら辺りを見渡し言う。
【七不思議その2 音楽室の幽霊】を解決しに来たが確かに何も変わりしていない。
普通の音楽室である。
これは......これこそは......
「ガセね。よし、帰ろう」
くるりと踵を返した時だった。
綺麗なピアノの音色が聞こえた。
それは酷く哀愁を帯びていて惹き付けられる音だった。
「...また生きている人間が興味で来たか...」
ピアノの弾き手の青年は言った。
「ひっ、なんか声がしたんだけど。ねぇ、峰岸さん、私帰ってもいいかな!?」
……無視。
おい!無視をしないで!
「...帰れ。貴様らが来る場所じゃない。」
再び声がする。
目線を峰岸に送ればにこりと闇の笑い。つまり、ほら、早くやりなさい。という威圧である。
内心、この鬼!悪魔!鬼畜執事!と何度目か分からない悪態をつきながら、私は向き直って一歩踏み出していった。
「...私、あなたを帰すために来たんですけどぉ」
ピアノの音が美しい音色から一変、狂音に変わり音楽室に鳴り響いた。
「はっ、俺をあそこへ帰すだ?断る」
鋭い目付きを半透明の青年はより一層深くさせる。
そして、急なキャラ崩壊に私は動揺しながらも答える。
「ど、どうして...」
「どうしてだ?そんなの簡単な話だ。
魔王が消え暫くは他の奴らが執っていた政治が崩れ魔界の3つの世界は崩壊し始めた。
街はボロボロで何も出来ない、何も無い。
あんな変わり果てた所には帰りたくねぇ。
対してここは良い。俺が生きてた頃やっていたピアノがあるしな。好きなだけ音を奏でられる。」
「あ、あの、私、魔界とか世界とか全然分かんないけど、戻った方がいいよ...!じゃないと…!!」
「分からねぇなら口出しするんじゃねぇ。あんたには関係のないことだ」
「確かに関係ないのかもしれない、でも、向こうにはあなたの大切な人とかいるんでしょ?きっと、そのマオウ様とかいう人もすぐに帰って元の政治をしてくれるよ!ていうか、私がその人を見つけて元の世界に帰してちゃんとしなさい!って言ってあげる!だから、」
帰ろ?
手を差し伸ばす。月明かりに照らされ薄く透き通る青年に。