うちの執事は魔王さま
「遅かったな、ルナ。待ちくたびれたぞ」
「ぎゃあああああ」
なんでこいつがここにいるんだよ!結城あおい!
「そう照れてくれるな。俺まで照れてしまうだろ?」
「峰岸!」
「おや、確認したつもりだったんですが。まあ、いいでしょう。めんどくさいです」
「悪魔め、漸く堪忍したか?俺の強さの前に屈服し!そして、元の世界へ帰れぇえ!あっははは!」
「やはり、ここから摘み出しましょうか姫」
「走ってる車から投げ落とすつもり?アホそうだから死ぬわよ」
「うん!お前ひどいな!可愛げがない!」
「やっぱり投げ落としましょう。煩いわ」
「アホそうだから死んじゃう、かわいそうと仰ったのは姫ではありませんか」
「そこまでは言ってないわよ!」
天井が低く狭い車内でいつも以上に騒がしくして帰路に着いたのだった。
もちろん、結城あおいは、彼の自宅前で降ろした。
「お疲れ様でした。アッサムでございます。ミルクはお入れしますか?」
「ん」
隣にアホを送り届けたあと、私は応接間のソファにダイブしていた。
疲れた。なんなんだ、隣のあいつ。
「なんなんだ、隣のあいつ。っていう顔されてますね」
「読むな」
「失礼いたしました。どうぞ」
テーブルに置かれた紅茶は、香りが立っていた。
私は、姿勢を直してカップを持ち飲んだ。
「明日は、学校でございますね。放課後、七不思議を解決しに行かれますか?」
「今日は、行かなくていいの?」
スパルタ峰岸のことだから、今日も連れて行かれると思っていたがそうではないようだ。
「姫がだいぶお疲れのようなので、やめておきましょう。それに無理は禁物です。人は脆いので」
ね。と笑う彼は、いつもより優しそうに見えて、私は素直に頷く。
人は脆いって、あんたも人でしょうよ。
という無粋なツッコミは心の中にしまって、また一口紅茶を喉に通す。
「それはそうと、姫。体調は如何ですか」
「体調?特に悪くないけど…どうかしたの?」
「いえ、なにも」
柔らかく笑む峰岸。
「では、今夜はもうお休みくださいませ。また明日」

