うちの執事は魔王さま
「峰岸。ルナのことをくれぐれも頼んだぞ」
「あなたに言われるまでもなく。そういうお約束(けいやく)なので」
公園の出口まで父と一緒に歩いて出る。
峰岸は、車を回してくるらしい。
久しぶりの父との2人っきりの時間。
「その…なんだ。ルナぐらいの歳になると色々あるだろう」
突然の問いかけに疑問符が浮かび上がる。
「お父さんがいない間に好きな人とか出来ちゃった?」
何故か頬を赤らめて言う父に私は相も変わらず疑問符が浮かぶ。
何言ってんだ、こいつ。
「ほぉらぁ、学校は共学でっしょ?!許嫁とは別で色恋の一つや二つあってもおかしくないでしょ!?お父さん、心配っ!」
さっきまでの威厳はどうした。
急にデレデレモードに入らないでほしいのだが。
「ないよ。好きな人もいない。…そりゃあ、私のことを好きになってくれる人がいたなら、お付き合いも考えないこともないのだけど…」
言っているこちらも恥ずかしくなってくる。
「でも、ルナちゃんがお嫁さんに行くのやだなぁ…。全力で止めていい?」
「娘の幸せを考えて行動してください。ていうか、さっきまでの許嫁の話はどうした」
「それはそれ。これはこれだ」
ただ…と続けた父。
続きを待つ。
「いや、この話は次の機会にでもしよう。迎えが来たようだ」
視線を父から逸らすと車を停めて待っている執事の姿。
「また、会おう。かわいい娘よ」
「お父さんも仕事、頑張ってね」
「えっ、かわいい!もっかい言って!」
「言わない!」
じゃーね!と照れ隠しで車までの道を駆けた。
背中から聞こえる父の声。
会う機会こそ少ないが、いつ会っても変わらない。
「お2人で何か楽しいことでもされてたのですか?」
車のドアを引きながら尋ねる執事。
「どうして?」
「いえ、嬉しそうでしたので」
とあの笑みを零して笑った。
「みねには、秘密。親子の時間だったから」
「左様ですか。良かったですね」
車の中に乗り込む。