先生、僕を誘拐してください。
それから私と奏はバイトと部活へ。
三人は楽しそうに何かまたやっていた。
多分衣装を合わせようとしているんだと思う。
自転車を今日は押して降り、バイトへ向かう。
バイトは、私の願いは届かなくて、今日も外で段ボールの解体とゴミ出し、その後はお弁当の梱包だった。
「武田さん、類くんが探してますよ」
「類?」
お弁当の天ぷらが熱くて、汗を拭っていた時だ。
同じパートのおばさんが、入口の方を指差す。
そこには、部活中のはずの村田くんがいた。
「村田くん?」
「お、蒼人の姉さん! やった。バイトまだ終わってなくて良かった」
「何?」
この人の下の名前って類なんだと、どうでも良い事を考えながら尋ねる。
「やっぱアドレス教えてほしいなって」
「アドレス?」
「こら! てめ、仕事中の女の子に何をナンパしてんだ」
「ちょ、父さん、五月蠅いから」
事務所を丁度覗きに来た店長に見つかり、村田君はめんどくさそうに追い払う。
そう言えば、店長の名字は村田だった。