先生、僕を誘拐してください。
「ねえねえ、類くんとどんな関係なの?」
「いやだわ、ここの社長夫人になれちゃうんじゃない」
「社長夫人。田舎のスーパーのくせい大口ねえ」
うちのお母さんよりも年上だろうパートのおばさんたちが、好奇心を押さえようともせずに聞いてくる。
いつもは、あの事故を知ってるから腫れものに扱う感じだったのに。
そういえば、朝倉くんがスーパーの裏に現れたのは、父親同士が仲良かったからとか言っていたような。
「うちの弟の部活のキャプテンなんです」
「あら、類くんが部活なんてできるの?」
「部活してたのねえ」
「何部? え、バスケなの?」
皆がわいわいしていると、丁度時間になったので挨拶をして帰ることにした。
長くなりそうだったけど、意外と案外簡単に抜けられたから良かった。