先生、僕を誘拐してください。


「知らないよー。二人とも部活じゃ、今からお母さん作るかもだし」

「美空、最近バイト先から貰わないじゃん、お惣菜」

「あー……私の方が美味しいからね」

本当は、同情的な顔で渡されるのが、好きではないから。
貯金の事を考えたら、喉から手が出るほどほしいんだけど、精神的に良くない。

「ふうん。まあ、確かに美空のご飯美味しいけど」
「何? 何で今日はそんなに素直なの?」
「前見ろよ」

あぶねーっと素っ気なく言われたけれど、今日はいつになく素直だ。

「で、何が好きなの?」

「……ハンバーグ。蓮根はいった鶏肉のやつ」

「ぷっ」

「笑うなよ」

ころりと落した小さな言葉で、私の心は簡単に浮上するから現金だ。

「ありがとう。今日、冷蔵庫にあったら作ろうかな」
「……昨日はあった」

その発言にまた爆笑してしまうと、信号で隣に並んだ奏の顔は耳まで真っ赤だった。

「美空は?」

「ん?」

「美空は俺のこと、好き?」
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