先生、僕を誘拐してください。


「そうよー。今日は蒼人と三人でラーメン食べに行くって。私たちには、駅前の人気のロコモコ弁当買ってくださったわよ」

お惣菜が負けている。これはお惣菜別に要らなかったか。

奏の家も、お母さんが奏を生んですぐに亡くなってるからほぼうちで面倒見てたからしょがないんだけど、なんか……家族みたいで変なの。

奏のお父さんとうちのお父さんが、幼馴染だったとは聞いているけど仲が良すぎる。

再婚とかしたらどうしよう。
「しないわよ」

私が黙ってみていたら、お母さんは笑った。
「エスパー?」
「ふふ。だって顔に書いてるもの。しないわよ。お母さんは、お父さんのおかげで今生きてるもの。感謝してる。足が不自由になっても苦じゃないの」

「でも奏のお父さん、髭が渋くてイケメンで高給な公務員で」
「こら。あなたは何を見てるの」

「私は、将来お金持ちと結婚して楽がしたいから」

「夢がない子ね」
軽く諭されたが、舌を出して誤魔化した。

お母さんがそれでいいなら私ももうそれでいい。
でもお母さん、まだそこそこ若いし別に再婚はいいのかもしれない。
私がお父さんを忘れなければそれで。
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