先生、僕を誘拐してください。
「このロコモコ丼、なんか変な味」
「ああ、ハーブ入れて炊いたご飯じゃないかな」
お母さんは平気そうな顔で食べているけど、ちょっと鼻につく。
女性に人気って有名なお弁当屋さんだけど、オーガニックを唄っておいて変なハーブを入れるのはいかがなものか。
「変な匂い」
「鼻がいいのね。カナリアみたい」
ふふっとお母さんが笑う。
「なんでカナリア?」
タイムリーな発言に少し動揺するけど、お母さんが笑う。
「カナリアって繊細で匂いに敏感なんですって。炭鉱とかで先頭にカナリアの入った鳥かごを持たせるの。すると有害ガスに気づいたカナリアは、こてんと倒れる」
「ひどい! カナリアで有毒ガスがないか確認させるの!?」
「そうみたい。昔の話よ。お父さんと隣駅の博物館に行ったとき、はく製を見てね。そこに説明が書かれていて私も読んで驚いたわ」
またまたタイムリーな話題で驚く。
あの博物館、カナリア触れる動物園を作るのにはく製を展示してるんだ。
「綺麗な声で鳴く鳥なのにって、お父さんもあなたと一緒でひどく憤慨してたわね。ふふ。懐かしい」