先生、僕を誘拐してください。


うんうん、とおおらかに納得した言葉で私を安心させてくれる。
だから私も、内心動揺していた心がこの時間だけ落ち着いていた。



翌日、朝練の真由が終わるころを見計らって登園して、朝倉くんのことを
一応報告しておいた。
「なにそれ。ちゃんとぶん殴った?」
「やっぱ殴るべきだったのかな」
「そんな恋愛脳で浮かれた頭は殴らないとわからないよ。今から殴るか。私が羽交い絞めするから、あんたが思いっきりさ」

真由が本当に今すぐにでも立ち上がってそんなことをしそうだったのでなんとか宥めた。
当事者より怒ってくれる、そんなまっすぐな真由が大好きだ。

「でもほんと腹立つ。卒業までもう会話したら駄目よ」

「私からはしないよ」

否定すると、安心したのか一リットルのペットボトルを持って飲みだした。半分固めてあるらしいけど、放課後には飲み終わってるからすごい。

「お、ほら見てよ。朝倉くん来たよ」

教室の窓から、校門のほうを見る。
あの坂を朝倉くんは涼しげな顔で登ってきているがそれだけではない。

なぜか奏と一緒に登校していた。
< 132 / 184 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop