先生、僕を誘拐してください。
クスクスと笑っている真由を尊敬する。
私は今日のバイトは、できたらスーパーの中で梱包とか伝票まとめとかしたい。
「いた」
「未来ちゃん」
正面から歩いてきたのは、テストが終わって生き生きした未来ちゃんだった。
「今日、今から音楽室借りてパート決めようと思ってたんです。先輩にメールしたんですよ」
「うそ、ごめん」
昨日の夜に電源消してから、今日は一度も開けてなかった。
「知ってたら楽譜持って来たんだけど」
「音楽室にあるから、進路指導室でコピーしていいって言ってましたよ」
「よーし。行こうか。あ、奏誘ってあげる」
「え、でも無理って言ってたじゃないですか」
「ううん。大丈夫」
本音くんはやりたいと言っていたのだから。
「へえ。今年もやるんだ。絶対見に行くからね」
「ありがと」
「未来ちゃんも頑張ってね」
「きゃー。ありがとうございます。真由先輩も夏の大会頑張ってください! 応援行きます」
未来ちゃんが目を輝かせると、真由は不敵な笑顔で手をあげ格好付けたまま走り去った。