『誰にも言うなよ?』
ギャルたちは狼谷先生のことなんて眼中にない。
「俺がコイツに用事あるって言ってるだろ?」
——は?
「黙ってよこせ」
ガシッとわたしの腕を掴むとそのまま歩き出した、狼谷先生。
「なに。どうしちゃったの狼谷」
「でも今の……ちょっと……」
「「カッコよくない!?」」
騒ぐギャルを置いて向かった先は、国語準備室だった。
「先生……さっき本性出てましたけど」
隠してるんじゃなかったの?
「お前、これ持っとけ」
――?
先生が差しだしてきたのは……
一台のスマホだった。
「なんですかこれ」
「なんだ。携帯も知らないのか?」
「それくらい知ってる……! なんでわたしが携帯を持っておかなきゃならないのっていうハナシです」
「お守り」
「は?……オマモリ??」
「いいから持っとけって」
持てといわれても。
こんな高そうなものに傷でもつけたらわたしは弁償できませんが。
「肌身離さず。いいな?」
「……?」
「ってことで。受け取ったら、さっさと教室戻れ」
本当に意味がわからないなこの人は。
「プリントは?」
「そんなもんねーよ」
なにそれ。
「私用でわたしのこと呼びつけたの?」
え、このスマホを渡すために連れてきたの?
「悪いか?」
「……別に」
むしろ、しつこそうなギャルから絡まれていたから好都合ではあった。