『誰にも言うなよ?』



やっぱり先生はわたしが困ってるとさらっと助けてくれるよね。


これで何回目だっけ。


日本史の授業に必要なものを、パパっと雅人から借りてくれて。


机の中や鞄からなくなったものを探してくれて。


それから……。


もしかして、あの日……。


資料室に閉じ込められているわたしを発見して保健室まで運んでくれたのは、あなたなの?


「ねぇ、先生」

「ん?」

「……わたしのこと見つけてくれましたか」


先生はわたしを保健室まで運んでくれたの?


「なんの話だ?」

「!!」


(ちがう、かった……?)


「なあ、モト公」

「なに」


あんなに呼ばれるとイラっとしたあだ名で呼ばれるのが、どういうわけか、嫌じゃない。


「青山とはうまくいってる?」


(……!!)


「な、なんですか。いきなりっ……」

「いいじゃないか。聞かせろよ」


教師が生徒の恋愛事情に口出しをするな。


「もうキスした?」

「は……!? しないわよ!!」

「どうして」


っていうか別に付き合ってないし。


「そういうお年頃だろ」


眼鏡の奥でニヤっと笑っている先生。


「付き合ってそんなすぐ、するわけないでしょ」


っていうか、雅人とは一生することない。

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