『誰にも言うなよ?』


 ◇


「一筋縄じゃいかないみたいだ」

「……そうですか」

「すんなり“こっち側”に入るかなと思ったんだけど」


赤ぶち眼鏡の少女が俯く。


「顔をあげてよ」

「…………」

「君には、まだ仕事が残ってるだろう?」

「……はい」


少女を見つめ、薄笑いする佐々木。

よからぬことを考えているということだけは、少女にもわかった。


「あの、会長」

「なんだい?」

「木乃素子にこだわる理由ってなんですか」

「はは。別にこだわってなんていないさ。ただ、僕の邪魔になりそうだから傍に置こうと思ってね。それが無理なら消えてもらう。それだけだよ?」

「……そうですか」

「まだなにか言いたげだね、千夏」


倉田千夏は、佐々木の目をまっすぐにみつめて問いかけた。


「これで、青山くんの処罰は見送ってくれるんですよね?」

「そうだね。彼は、正当防衛とはいえ校内で暴力を振るった。本来は停学にでもして自宅謹慎が妥当だ。……だけど、見逃してあげよう」


その言葉に安堵した千夏の様子を悪魔は見逃さなかった。


「千夏は、青山雅人が好きなのか?」

「っ、いえ……そんなことは」

「そうだよね。君は僕のものだ」


そういうと、会長は少女の頭を撫でた――。

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