『誰にも言うなよ?』


「あー、待って。ボクの勘違いだったらいいんだけど。まさかモトコ――」

「キスされたとき抵抗して噛んだ」

「……嘘、だよね?」


沈黙が流れる。


「っ、ほんとだよ」

「…………」

「今朝、千夏を探してたらバッタリあの男に会って。生徒会室に移動して。内側から鍵を、閉められて」

「どうして2人きりになったの」

「それは……狼谷先生のことで話したいって言われて」

「カミヤのこと、話したの?」

「ううん。あんまり」

「そうだろうね。カミヤなんてキミを呼び出す口実にすぎないんだよ。どうしてキミはそんなに無防備なの」


レオの言うとおりだ。

まんまと口車に乗って生徒会室に入ってしまった。


「あのナルシスト野郎、きっと女の子から拒絶されたの初めてだよ。プライド傷つけてやった。あはは」

「…………」

「でも、嫌だったなぁ。もう二度と会長とは2人にならないでおこう」

「ごめん」

「……え?」

「モトコがそんな目にあってたのに。守れなくてごめんね」

「やだな……レオは、いっぱい救ってくれてるよ?」


ひとりじゃクラスを仕切ることができなかった。


レオのおかげで希望が見えた。


「消毒してやりたい」

「……は?」
< 449 / 540 >

この作品をシェア

pagetop