『誰にも言うなよ?』
「エスカレート……しなきゃいいけどな」
ぽつりと狼谷先生がつぶやく。
それはわたしが懸念していることそのものだった。
わたしへの嫌がらせを完全に楽しんでいる。
こんなものを仕込むくらいだ。
平気で人を傷つけられるんだ、あいつらは……。
なにをされようが屈する気はないが、わたしへの嫌がらせがあいつらの悦びに繋がっていると思うと本当に腹立たしい。
「それじゃ、また授業でな」
「……ありがとうございました」
狼谷先生は職員室へ、わたしは教室へ向かう。
【どうか、これ以上なにも起きませんように】
そんなわたしの願いもむなしく。
「……?」
教室に入った瞬間、いつもなら見向きもされないわたしが注目されていることに気づき。
とても嫌な予感がした。