fantasista
「俺がアスールに入れたのも、山形のおかげだ」
戸崎はあたしを抱きしめたまま、静かに告げる。
あたしは戸崎の腕の中で、ピクリと体を動かした。
「山形と付き合い始めて、俺はサッカーと真剣に向き合うことが出来た。
だから、アスールからオファーが来た」
何も言えず、戸崎にしがみつく。
「五年間、自分のためにがむしゃらに頑張った。
でも、これからは山形のために頑張る」
「戸崎のくせに……」