fantasista
「お前、ドン引いてるだろ。
俺も正直ドン引きだ。
ペチャパイのオトコオンナにこうも惚れているなんて」
「……うるさい」
「でも、俺の近くにいてくれ。
俺を安心させてくれ。
やっと手に入れたんだから」
ぶつかった瞳は甘く優しく切ないものだった。
視線が絡まり顔が近付く。
もう、止めたいのに。
キスなんかすると、好きが止まらなくなるのに。
それなのに、引き合うように顔が近付き、甘く優しい口付けを交わす。
お互いの愛を確かめるように、何度も何度も。
離れようとすると、そのぶんのめり込んでしまう。
まるで、蜘蛛の糸に絡め取られたみたいに。
あたしはもう、戸崎から離れられないんだ。