fantasista
食事を終え、片付けをして、戸崎の家を去ろうとした。
あたしに、
「お前まだ帰るのか」
あきれたように言う戸崎。
そんな戸崎に言ってやる。
「当然でしょ?
あんたチャラいから、負傷していても襲われそう」
「……何もしねぇよ」
「だよね。
オトコオンナのペチャパイになんか興味ないよね」
軽く返しながら、愕然とする。
こんな時にも思い出してしまう。
あの部室の隣の部屋での、最悪な記憶を。
昔のことなのに、すごく苦しい。
すごく嫉妬する。
戸崎はあんな風にあたしの身体に触れたことはないし、もちろん抱かれたこともない。
あー……あたし、本当にネチネチして嫌な女だ。
邪念を振り払うかのように頭を振った。