fantasista
そんな胸の奥底を荒らす戸崎をかき消すように、舞さんに告げる。
「でっ……でも!
今は興味ありません!」
「そっか……」
残念そうな舞さんは、あたしに衝撃的なことを告げた。
「今日、アスール東京の試合があるんだけどね、一緒に行く予定の友達が行けなくなっちゃって。
みどりちゃん、行かないかなあって」
アスール東京。
その名前を聞いて、飛び上がりそうになった。
身体を震えが走る。
駄目だよ、そんなものを観に行ったら、ますます戸崎から離れられなくなる。
だけど……
頷いてしまったんだ。
すごく楽しそうにボールを蹴っていた、かつての戸崎が思い浮かんで。
また、あんな戸崎を見たいなんて思って。