fantasista
そんな訳で、仕事後、戸崎属するアスール東京の試合を観に行くことになってしまった。
試合を観ると言っても、戸崎は出ないかもしれない。
……そうだよね、きっと戸崎は出ない。
根拠もなく言い聞かせたが、
「みどりちゃん、アスールのことよく分からないよね?」
舞さんがあたしに言う。
「あたしはFWの戸崎柊が好きなの。
今日の試合、戸崎選手が出るんだって!」
舞さんの言葉に身体を戦慄が走る。
平静を装って、そうなんですねと答えるが……
鼓動は止まりそうに速い。
戸崎のことを思うと、こんなにも身体が熱く溶けそうになる。
胸が甘い音を立てる。
まるで、昔に戻ったかのように。