fantasista
スタジアムは青色で埋め尽くされていた。
同じく青色のユニフォームを着たあたしは、舞さんに誘導され席に座る。
開始一時間前だというのに、スタジアムは人がいっぱいで。
あたしの席からは、ピッチ内にいる人は米粒のようにしか見えなかった。
……少し安心した。
戸崎が遠いから。
それに、あたしが見えるはずないから。
あたしはここから内緒で戸崎を応援している。
「やっぱり、戸崎柊の人気はすごいわね」
舞さんはそう言って、ぐるっと辺りを見回す。
そして、あたしと同じTOZAKIユニフォームを着ている人がたくさんいることに気付く。
戸崎、凄いんだ。
こんなにもサポーターがいるんだ。
戸崎を思うと胸が熱くなる。
あたしはこんなにちっぽけで、あたしの声援は戸崎に届くはずなんてないのに。