fantasista




そして……

何も知らない舞さんは、さらにあたしを追い詰める。





鞄から青色のシャツを取り出す。

それを一目見て、ユニフォームだと悟る。





「みんな、これを着て観戦するんだよ。

みどりちゃんもどうぞ?」




それを受け取った手は、ぶるぶると震えていた。




だって……

そのユニフォームに書かれていたもの。それは、「10」という背番号と、「TOZAKI」という文字だったのだ。





あたしが戸崎のユニフォームを着ないといけない?

戸崎に着られているようで恥ずかしいよ。

いや……戸崎に抱きしめられているようで。






邪な想像をし、慌てて首を振る。

戸崎は過去の人だし、だいいちあたしを抱きしめるようなキャラでもなかったし!




必死に否定する。

そして、今は久しぶりのサッカー観戦に集中しようと思った。


< 18 / 244 >

この作品をシェア

pagetop