fantasista
そして……
何も知らない舞さんは、さらにあたしを追い詰める。
鞄から青色のシャツを取り出す。
それを一目見て、ユニフォームだと悟る。
「みんな、これを着て観戦するんだよ。
みどりちゃんもどうぞ?」
それを受け取った手は、ぶるぶると震えていた。
だって……
そのユニフォームに書かれていたもの。それは、「10」という背番号と、「TOZAKI」という文字だったのだ。
あたしが戸崎のユニフォームを着ないといけない?
戸崎に着られているようで恥ずかしいよ。
いや……戸崎に抱きしめられているようで。
邪な想像をし、慌てて首を振る。
戸崎は過去の人だし、だいいちあたしを抱きしめるようなキャラでもなかったし!
必死に否定する。
そして、今は久しぶりのサッカー観戦に集中しようと思った。