fantasista




俺はぽかーんと柚を見ていた。

柚は顔を真っ赤にして、俺を睨んでいる。





「みどりちゃんは大切な友達なのに。

柊のせいでいなくなった」





柚の言葉が胸に突き刺さった。






俺は山形が嫌がると思って、そして、何より照れ隠しで友達のような関係を続けていた。

でもそれが、山形を苦しめていたんだ。

他の女に目を向けていないで、しっかり山形を見れば良かった。

しっかり山形に伝えれば良かった。

俺はこんなに山形が好きなのに。

これからも毎日山形と笑って過ごしたいと思ったのに。

山形のいない世界は色を失ったようだ。

俺はこれから、どう生きればいいんだ?


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