fantasista
「サッカー?俺の一部ですね」
スクリーンに映し出された戸崎は言う。
その低く落ち着いた声に、胸の鼓動が止まらない。
「ボールがネットを揺らすと、俺の心も揺れます」
あたしの心も揺れて仕方がない。
「サポーターの皆さんの応援が力になります。
よろしくお願いします」
その言葉に会場が湧いた。
そして、試合が始まってもいないのに、戸崎コールが鳴り響く。
舞さんも大声でコールしていて……
あたしも、胸を高鳴らせながら、青いタオルを振っていたんだ。
戸崎はすごい。
昔はあんな小さなグラウンドを駆け回っていたのに、今はこんな大きなスタジアムで声援を浴びるなんて。
戸崎が映るたびに泣きそうになった。
彼の存在は、あたしをかき乱して止まない。