fantasista
戸崎のことを考えているうちに、着々と試合の準備が進む。
そして、テレビで見たことのある、選手入場が始まる。
どれが戸崎か分からないだろうと思っていた。
だって、ピッチまではあまりにも距離があるから。
だけど、背番号10を見つける前に、すぐに分かってしまった。
その少しだるそうな歩き方、ピシッと背を伸ばした佇まい。
それはあの頃と同じだったから。
あたしの大好きな戸崎が目の前にいて……
楽しかった戸崎との思い出が昨日のことのように蘇る。