fantasista
「す……すげぇな」
戸崎はぽかーんとしていて、
「でしょ!?あんたには負けないよ」
あたしは笑顔で言う。
そんなあたしたちを見て、人々は
「戸崎柊が女に負けてる」
「あの女すげー」
なんてざわざわしていて。
ギャラリーに向かって、
「俺の女はすげーんだよ!」
戸崎は調子に乗って吐いていた。
そんないつも通りのノリの戸崎だった。
昔に戻ったようなデートだった。
心の中のしこりは取れない。
だけど、戸崎といると楽しくて。
たくさん笑ったんだ。