fantasista
「なぁ。牛の胸の肉って何て言うんだ?
お前、牛みたいな胸に憧れないのか?」
「それならあんたは牛と結婚すれば?」
そう言うと、
「俺はお前がいいんだよ」
戸崎は肉を焼きながら口を尖らせる。
そして、例外なくドキンとした。
戸崎はずるい。
こうやって、不意打ちであたしをきゅんきゅん言わせるんだから。
あたしも戸崎がいい。
戸崎じゃなきゃ、嫌だ。
「さすがチャラ男」
苦し紛れに言うあたしに、
「もう、チャラくねぇよ」
戸崎は口を尖らせたまま告げる。