好きだから……
「どうした、千里?」と先生がうっすらと目を開けて問いかけてくる。

 先生の腕枕に、腰に置かている先生の手に……。身体がムズムズして、動いてしまったのに気が付いたのかもしれない。

「え……あ……っと。大丈夫ですか?」
「それ、俺が千里に聞くべき言葉だろ」
「あ……」とわたしは、先生との行為を思い出して、顔が真っ赤になった。

 先生がクスクスと笑った。

「そ、そういうことじゃなくて。先生的に。その立場とか……仕事とか」
 ごにょごにょと言葉が濁る。

「大丈夫なわけないだろ。生徒とセックスだなんて。バレたらクビだな」
「え?えええ??? どうしましょ」
「ようは、ばれなきゃいいんだろ?」

「わたし、先生を好きな気持ちを隠せる自信ないです」
「そりゃ、どうも」と先生が苦笑して、わたしの頭を撫でた。
「あれ? そういうことじゃないんですか?」
「千里が俺を好きなのは、周知の事実だろ? 俺が大人対応してりゃあ、ばれないだろ。ただ、千里が卒業するまでは、二人きりで出かけるのは無理だ。それと、ここで一人暮らしをしているのも、三バカとその恋人二人以外には話すなよ。話したら。ここにも、俺はこれなくなる」

「え? やだ。絶対に言わない! そしたら来てくれる?」
「ああ。毎日のように来てやるよ。メシ、食いたいしな」
「ご飯だけですかあ?」

 わたしの言葉に、先生が驚いた顔をして、そのまま大声で笑い出した。

「まったく。バカなんだか、小悪魔なんだか。わかんねえな、千里は」
 先生はくくくっと肩を揺らして笑っていた。

 夢がかなった。
 無理だと思っていた先生との恋が、ひそかに始まった。

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