好きだから……
「せ……先生???」
 軽いキスを2回してから、先生が運転席の椅子に背中を預けた。
 少し遠い場所に視線をやり、先生が髪をかきあげた。

「くそっ。あいつらの思うつぼかよ」と先生が苦笑した。
「はい?」
「千里の一人暮らしを聞いて、最後の防波堤が崩れた……」

 防波堤? 最後の防波堤?
 先生、なんのことを言っているのだろう。


 えっと、えっと……。
 賢くない頭をフル回転させる。
 わたしは落ち着いている風を装いながらも、崩壊しそうになる脳みそを全力で使った。

 目の前に映る先生の姿が、夢? と思えば思ってしまえるような状況だ。

 先生と同じベットの中にいる。タオルケットの下の先生は、裸だ。
 
 先生と……わたしは……。
 エッチしてしまった。

『してしまった』という表現は間違ってるかもしれない。後悔が混じる表現になる。
『しちゃった』というほうが、しっくりくる。

 先生の手が……。口が。
 思い出すだけで、体中が熱くてとろけてしまいそうになる。

 ベッドから飛び出して、「きゃあ!」と心の中の興奮を叫び声にしてしまいたいくらい。
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