溺愛CEOといきなり新婚生活!?
「で、相手は?」
「……聞いて驚かない?」
「有名人だったら、そりゃ驚かせてもらうけど」
うぅ、と口ごもり、フォークを皿に置いた。
誰にも言わないと約束してもらったうえで、口を割る覚悟を決める。
「永井さん。この前会った、永井社長」
「まさかの大社長……。でも、永井さんなら花澄を幸せにしてくれそうな気がするなぁ」
「えっ!? そうかな?」
途端に心の霧が晴れていく。
そうだったらいいなと思っていたことが、他人の口から告げられると真実味を帯びるからだ。
「だって、ほら。玉田さんがほろ酔いで絡んでた時、永井さんが自然に花澄のフォローしてくれてたし、二人で抜け出しちゃってたし……。あれ、永井さんから誘われたんでしょ? 完全に脈アリだって! 元カノの存在を明かすほどの仲なら、もうためらってないでぶつかってみたらいいじゃん!」
楽しそうに話す彼女に元気づけられて、今夜また永井さんと顔を合わせる躊躇いが薄くなった。