溺愛CEOといきなり新婚生活!?

 とはいえ、現実はそう甘くない。


 同僚と夕食も一緒に済ませ、帰宅したのは二十時。
 すっかり夜景が支配したマンションからの景色は、広い部屋にひとりぼっちでいる寂しさを植え付けてくる。

 今頃、どこにいるんだろう。
 食事の時間だから、ムードのあるレストランで楽しく過ごしてるのかな。七瀬さんはシェフだから、お店選びをするのは大変そうだけど、そういうのも永井さんは簡単にこなしちゃうんだろうなぁ。


「……早く帰ってきて」

 窓辺に立ち、目が眩む高さから街を見下ろす。


「寂しいよ」

 永井さんが好きって言ってきたせいで、意識するようになって。


「私といて。……どこにも行かないで」

 大失恋から救ってくれたあの時、言ってくれた言葉を覚えてる?


 ――何があっても、私といてくれるって信じていいですか?



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