溺愛CEOといきなり新婚生活!?
もしかしたら先に起きて着替えてたりするかもしれないと思い、念のためドアをノックする。
「入りますね……」
そっと開けたドアの先に、一度だけ入ってしまった彼の部屋が広がっている。
昨夜穿いていたデニムがデスクチェアの背に掛けられていて、小銭入れとマネークリップに挟まれたお札が無造作にデスクに置かれていた。
部屋の奥にあるキングサイズのベッドに、寝相よく横たわっている彼が見えた。
本当に眠っているようで、私が近づく気配にも全く気付く様子がない。
「永井さん」
ベッドサイドで声をかけても無反応だ。
こんなに深く眠るなんて、もしかしたら本当に一睡もしていないのではと気がかりになる。
「永井さん、一時間経ちましたよ」
気怠そうに眉間に薄ら皺を寄せてから、彼はゆっくりまぶたを開けた。
「キスして起こしてって言ったのに」
そう言うと、彼は私を強引にベッドに引きずり込み、またしても抱きしめてきた。