溺愛CEOといきなり新婚生活!?

 彼が予約してくれていたのは、ホテル内にある鉄板焼きのお店だ。
 鉄板を目の前にして並んで座ると、向かい合うより幾分か緊張は和らぐ気がする。


「お嫌いなものや、アレルギー等はございませんか?」
「ありません」
「かしこまりました。永井さんはお変わりございませんか?」
「ええ。飲み物は……まずはビールを」

 お変わりないですかって……どれほどの常連客なのかと、隣から彼に目配せする。


「ここにはよく来るんですか?」
「そうだなぁ……香川さん、俺がこの前来たのっていつでしたっけ?」
「確か二ヶ月ほど前だったでしょうか。その前まで二週に一度お見えになられていましたが、最近はお忙しかったようで」

 二ヶ月前。私が大失恋する直前だ。
 その頃、永井さんは誰かとここに来たんだ……。


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