溺愛CEOといきなり新婚生活!?

「この頃はもう花澄と出会ってるね。なんだか随分前に感じるけど、まだ三ヶ月も経たないのか」
「そうですね。毎日一緒にいるから、半年以上経ってる感じがします」

 私たちが話していると、焼きあがった鮑の岩塩蒸しが並んだ。


「永井さんも、最近素敵な方と知り合われたとお話されていましたよね、ご結婚された方と」

 香川さんが突然暴露して、永井さんは照れた顔をしてビールを飲みだしている。


「そうなんですか? その方はどんな人なんですか?」
「うーん、そうですねぇ。私は清楚で控えめな、かわいらしい方だとお見受けしましたが」

 色々なお客さんを見ている香川さんが言うほどの、清楚で控えめでかわいらしい人……。
 どこかのご令嬢かなぁ。彼の特別な人になりたいのに、ライバルはまだまだたくさんいそうだ。


「いや、だからさ……」

 永井さんはスーッと息を吸うと、今度はゆっくり吐き出して私を流し見た。


「花澄以外、いるわけないだろ」

 その視線に一瞬にして射抜かれた私も、真っ赤な顔でビールを飲んでごまかす。


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