溺愛CEOといきなり新婚生活!?

「本当に素敵な方ですね、永井さん。今日は、私に自慢したくてお見えになられたんでしょう?」
「あはは、そうです。これからまた二人でちょくちょく伺うつもりですので、よろしくお願いします」

 すっかり元の表情に戻った永井さんと、未だ真っ赤な顔の私。そんな私たちを見て、香川さんは終始嬉しそうにしていた。


 次に残っていた六月の写真を見せてくれた。この頃はちょうど七瀬さんのことを知った時だ。


「永井さん。教えてほしいことがあるんです」
「なんでも話すよ、今日は」
「前に、私に言ったこと……覚えてますか?」
「どの話?」

 陶器のビアタンブラーを傾け、ビールを飲み干した彼は、ハイボールをオーダーした。


「いつまで辛い恋を続けるの? 本当に先輩を信じられるなら、サンプリングマリッジをもうやめてもいいんだよ……って言いましたよね?」
「うん」
「どうして辛い恋をしてるって思ったんですか? 確かに振り回されてばかりだったけど……まだ知り合って間もなかったあの頃、なんで永井さんがそんなことを言ったのか気になって」

 彼は両肘をカウンターに突いてひと呼吸置いてから、私と向き合った。


< 266 / 378 >

この作品をシェア

pagetop