溺愛CEOといきなり新婚生活!?
悪者になってまで、私を守ろうとしていたこと。
私が傷つかないために、知っていることを隠してくれていたこと。
知り合ってから今日まで、いつでも甘く優しく接して、想いを伝え続けてくれていた永井さんは本当に騎士のような人だと思う。
そして、彼の想いに今日こそ応えたいと思った。
香川さんやスタッフの方に見送られ、鉄板焼きの店を後にした。
金曜の夜、ホテルの中は大勢の利用客がいて、彼を知る人とすれ違うと声を掛けられ、永井さんと挨拶を交わしていった。
その間も、私を隠すことなく堂々と腕に手を掛けさせてくれて……少しずつだけど、私もちゃんと顔を上げられるようになった。
九条さんが運転する社用車で帰宅したのは、二十二時前だった。
「遅くまですみません。気を付けてお帰りになってくださいね」
こんな時間になってしまったので、気が引けて九条さんに頭を下げる。
「いいんですよ。これが私の仕事ですから。それより……早く行かれた方がよろしいかと」
「また乗せてくださいね。おやすみなさい」
マンションのエントランスで待っている永井さんは、明らかに妬いている顔で私と九条さんを見ていた。